皆さんこんにちは。
大阪府を中心に堺市を拠点とし、鉄道土木構造物設計(下部工)および仮設足場工事を手がけるアイビーでございます。
弊社が手がける業務のひとつとして、仮設足場工事(くさび)の特徴や役割、メリット・デメリットについてご紹介いたします。
クサビ式足場(くさびしきあしば)は、建設現場などで使用される仮設足場の一種で、「楔(くさび)」と呼ばれる金具を打ち込んで部材を固定する構造が特徴です。正式には「クサビ緊結式足場」とも呼ばれます。
1.基本構造とは?基本構造と発展の歴史
・緊結部に「楔(くさび)」を使う構造
・クサビ式は昭和後期~平成にかけて普及
・脚立足場・単管足場の課題を解決するために登場した背景
2.クサビ式足場の技術的な特徴
緊結部の構造と仕組み
・ハンマーによる打ち込みで「自重締結」する仕組み
・遊びの少ない接合で横揺れ・たわみに強い設計
・締結部の「角度固定型」と「自由回転型」の違い
組立・解体が簡単
・部材同士を楔で打ち込むだけで接続できるため、工具を多く使わずに短時間で作業可能です。熟練度がそれほど高くなくても比較的安全に組立てが可能です。
高い安定性
・クサビの打ち込みにより、がっちりと固定されるため、揺れに強く安全性が高いです。
汎用性の高さ
・部材の種類が豊富で、様々な建物の形状に合わせやすい。外壁工事、塗装工事、改修工事など多用途に対応。
運搬と保管が容易
・部材が比較的小さくコンパクトで、輸送効率も良い。
構造的な特徴
・楔(くさび)で緊結する構造
部材同士を「楔(クサビ)」で打ち込んで固定する仕組み。
接続部にがたつきが少なく、しっかりと固定される。
・モジュール式の設計
規格化された部材で構成されており、組立や解体が簡単。
同じ部材を繰り返し使えるため、部品管理も容易。
・軽量・コンパクトな部材
鋼管をベースとしながらも比較的軽量で、運搬や取り回しがしやすい。
作業面での特徴
・組立・解体がスピーディー
・工具が少なくて済み、作業時間を短縮できる。
・熟練度がそれほど高くなくても扱いやすい。
・狭い場所にも対応
・小回りが利き、住宅密集地や複雑な建物にも柔軟に対応可能。
・安全性が高い
・ガタつきが少なく、横揺れにも強いため、作業中の安定性が良好。
・手すりや踏板の設置も標準化されている。
その他の特徴
・多用途で使用可能
・新築工事、改修、塗装、解体、外壁洗浄など幅広い用途に対応。
・コストパフォーマンスが高い
・短期間の施工でも対応しやすく、費用対効果に優れる。
3.メリット
a.組立・解体が早い
・工具をあまり必要とせず、部材同士を打ち込むだけで接続可能。
・工期短縮につながり、人件費削減にも寄与。
・ハンマー1本で部材同士をくさびで固定する方式なので、作業効率が非常に高いです。
b.作業性が高い
・一定間隔で手すりや踏板を設置でき、安全性と作業効率が良い。
・建物に沿った足場を組みやすく、狭い現場にも対応可能。
c.省人化・コスト削減
・熟練工でなくても扱いやすく、短時間で作業ができるため、人件費の削減につながります。
d.強度が高く安定している
・部材の精度が高く、設計通りの組立がしやすい。
・支柱の連結部がしっかり固定されるため、グラつきにくい。
e.運搬・保管がしやすい
・部材が比較的軽量・コンパクトで、トラックや倉庫での管理がしやすい。
f.安全対策が充実
・手すりや踏板など安全部材が標準化されており、法令に貼った設置がしやすい。
4.デメリット
a.高層建築や複雑な形状の建物には不向き
・中低層向けであり、10階以上の高層現場では使用制限があることも。
・高さや荷重の制限があるため、枠組足場などに比べてスケーラビリティが低い。
・直線的な構造が前提のため、曲面や特殊形状の建築物には対応しずらいです。
b.部材の数が多く管理が複雑
・細かいパーツが多いため、紛失や破損の管理が必要。
・組立の際、部材の選別に時間がかかることもある。
c.足元のスペースが制限されることがある
・支柱が多く設置されるため、足場の下部に物を置いたり作業するスペースが制限されることがある。
d.防音性や遮蔽性は低い
・枠組足場に比べて、パネルやネットなどを張るスペースが限られる場合があり、養生が必要な現場では不向きなことも。
・職人の技術差が出やすい
・見た目の簡単さに反して、正しい打ち込みや水平の取り方を誤ると事故につながる可能性がある。
e.部材の損傷リスク
・ハンマーで打ち込む方式のため、繰り返しの使用でクサビ部が変形・摩耗することがあります。
5.主な構成部材
・支柱(縦材):垂直に立てる柱
・手すり・中さん:水平に渡す安全用の部材
・踏板(床材):作業員が乗る部分
・ジャッキベース:地面と接する部分で高さ調整可能
6.利用上の注意点
・荷重制限を守る:一つの踏板や支柱に過剰な荷重をかけない。
・適正な組立手順を守ることが重要(労働安全衛生法での規制あり)。
・定期点検の実施:部材の破損・劣化は事故の原因に。
7.現場からの評価と施工管理者の視点
・現場の声:「時間がは半分以下で済む」「職人の負担が軽い」
・施工管理側:「工期短縮に貢献」「狭小地でも計画しやすい」
・ただし、施工誤差や製品ばらつきによる「ハマらない」トラブルには注意
8.クサビ式足場は現代建築にフィットする進化型足場
・特に木造・中低層建築ではもはやスタンダード
・正しい知識と施工技術で最大のパフョーマンスを発揮
・製品選び・設計時の検討で「安全・効率・品質」を両立
9.安全性と規格対応および法令対応
・安全性の特徴:
・一部の製品は600mm幅の作業床が標準化されており安全基準(労働安全衛生法)を満たしやすい。
・先行手すり工法:組立・解体時に先行して手すりを設置し、作業者の墜落リスクを低減。
・巾木の設置:作業床の端部に15cm以上の巾木を設け、工具や資材の落下を防止。
・法令対応:
・労働安全衛生規則:高さ2m以上の足場には墜落防止措置が義務付けられており、クサビ式足場はこれに適合する設計が可能。
・壁つなぎの設置:足場の安全性を確保するため、壁つなぎの設置間隔や方法について規定がある。
アイビーでは仮設計画、図面の作成、検討計算についても一貫して業務の役割を担っており、様々な現場にて対応しております。
・仮設計画図面作成の役割
・足場計画は施工前に図面で安全性と施工性を確認することが必須作業と考えます。
・図面には以下の内容が含まれます:
・足場の配置(立面・平面・断面)
・支柱間隔、作業幅、手すりの位置
・壁つなぎの位置他
・「足場=組むだけ」ではなく、図面と検討計算を通じて、事前に安全・効率・施工性を確保する必要がある。
・クサビ式足場にて精度の高い設計と管理によって最大の性能を発揮させます。